11月27日、2023年度コンソ・プラザ一般講演会(第3回)が開催されました。早稲田大学 理工学術院 総合研究所 上級研究員・研究院教授の松村秀一様に「建築の明日へ-希望を耕すための要点を考える-」のタイトルで、晴海の講演室(対面)とオンライン(Zoomミーティング)の併用開催にてご講演いただきました。参加者は講演室が10名、オンラインは34名、合計44名でした。
今回の講演内容の背景として、これからの日本の新築事情は小さくなり、ストックとしての建物を活用していく状況の中で、建築業界はどう考えていくべきかを、今回の講演タイトルと同様である松村先生著書「建築の明日へ」の項目から説明されました。「新たな活動領域を見出す」ために、各個人の「アイデンティティを見つめ直す」こと、目標となる「明日への建築人像を描く」ことが必要である。また、新築をやっていくなら「国境を越えてゆく」、これからの建築には、要求通りに建築していくだけではなく、「一人の生活者として感じる」価値判断が必要であると話されました。「建築の寿命」は、ロックフェラーセンターのプロパティマネジメント会社が、建物の建て替えを考えていないことや、東京大学周辺の戦災を免れた地区の調査で、所有者の事情で古い自宅を建て替えてない状況をとらえて、建物そのものの物理的・耐久的な寿命ではなく、「人間が決めている。そして、それは延びる」ことを説明されました。松村先生は、新築からリノベーションへの産業転換の方向性を意識することを「箱」から「場」へと表現されています。そのためには、「人の生き方」の実現に利用する構想力が必要で、リノベーション、ストック活用型のエリアマネジメントは、ここにこそ意味があると話されました。
講演会後のアンケート(匿名38名)結果は、評価平均4.7(5点が最高)と高く、興味深い話で、わかり易く、楽しく聞かせてもらったとのコメントなどがありました。