建築研究開発コンソーシアム20周年記念誌
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コラム株式会社竹中工務店村山 広樹CBRD 20th Anniversary 93「アイデアコンペに参加して」2021年度 建築・住宅技術アイデアコンペ 最優秀賞 受賞者 この度は第19回建築・住宅技術アイデアコンペにおいて発表させていただいた研究アイデア「先端産業の未来を切り拓く次世代クリーンルームの微振動制御技術」が晴れて最優秀賞を頂くことができ大変うれしく思います。 この提案は半導体をはじめとする電子部品や製薬など、日本の未来を担う先端産業の生産・開発施設の心臓部ともいえるクリーンルームの微振動に関するものです。普段の業務において、昨今の半導体不足に端を発する急激なクリーンルームのプロジェクト対応の増加を肌身で感じておりました。これらのプロジェクト対応の中で、微細な振動も嫌う精密機器(嫌振機器)の振動スペックについて考えることが増えてきました。クリーンルームを新たに設計・施工をする時には厳しいスペックを守るよう求められ、振動対策のために多大なコストが発生している一方、スペックを満たしていない環境下でも問題なく稼働している例もあるようです。様々なプロジェクト対応をしていく中で、次第に建築主、嫌振機器メーカー、建設事業者三者にとって良い状況とは何かについて考えるようになりました。ちょうどその時に出会ったのがこのコンペでした。単独ではなく建設業全体で考えたい、嫌振機器メーカーという異業種を巻きこんだ活動をしたいという想いからアイデアコンペに応募いたしました。 このアイデアコンペから生まれました研究会活動がはじまりますと、予想以上に多くの参加者が集まったというのが最初の驚きでした。クリーンルームや嫌振機器の振動スペックに対する課題感を高く持っている方が多くいらっしゃることを実感することができたのもひとえにこのアイデアコンペのおかげだったと思っております。 また、この活動は人脈形成の上でも貴重な経験となりました。昨今の新型コロナウイルスの影響もあり、あまりできていなかった同分野(環境振動)の専門家とのコミュニケーションの機会を得ることができただけでなく、普段関わることのない嫌振機器メーカーへのヒヤリングを通じて様々な事を学ぶことができたのは大きな収穫であったと感じております。 これらの活動は、自身の所属する一企業の研究所の中に閉じこもっているだけではなかなかできない貴重な経験ができる良い機会となりました。まだ研究会活動も道半ばですので、今後も活動を続けていきたいと思います。

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