建築研究開発コンソーシアム20周年記念誌
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コラム五洋建設株式会社 高橋 祐一58 CBRD 20th Anniversary「コンソ・プラザ見学会に参加して」環境配慮型コンクリートに必要なものとは? 今回、私が参加した見学会は「大阪・関西万博パビリオン等への実装に向けたリサイクルコンクリートの実大施工実験の見学」です。もともと開発に携わっていたこともあり、とくに再生骨材コンクリートに興味を持ち、参加の申込みをさせていただきました。 見学会の冒頭に「短期間の利用に留まるパビリオンや供用施設の基礎に使用するため、建築基準法が緩和されることから、リサイクルコンクリートが使用しやすい」との説明があり、施工実験を実施する8種類のリサイクルコンクリートについて紹介していただきました。見学会の日程の都合上、実際に見学できたフレッシュコンクリートの試験状況は1種類のみでしたが、製造した再生砕石を粗骨材と細骨材に分級せずに、それを骨材(再生砕石2000)として使用したコンクリートでした。最初に骨材の説明を聞いたときはすぐに理解できませんでしたが、「分級するために必要なエネルギーも削減することが可能」という説明を聞き、“そこまでやるんだ”と感服いたしました。その他のコンクリートについても試験体の半年間の収縮ひずみを計測するとのことでしたので、フレッシュ性状や強度性状と合わせて、何かの機会でご報告いただけましたら幸いです。 また、実験のコンクリートを製造している生コン工場の同一敷地内では、実験で使用した再生砕石の製造を行っており、その施設の見学もさせていただきました。これまで見学したことのある施設は、屋外もしくは半屋外でしたが、ここでは粉塵の流出防止のため、建屋内にジョークラッシャーや分級機を設置していて、建屋の外では粉塵はもちろんのこと、騒音も小さく、周辺環境への影響を抑制する配慮がなされていました。環境配慮のためのリサイクル材を製造するのに、周辺環境への影響があっては、その意味が小さくなってしまうので、このような配慮は欠かせないものと思いました。 本見学会を通じて、リサイクルコンクリートのような環境配慮コンクリートといわれる技術の開発に携わっているものとして、「適材適所で利用する」「リサイクルや低炭素以外にも周辺環境にも配慮する」といったことが重要であると改めて感じることができました。‌ 最後に、本見学会を企画してくださった皆様、また、当日ご対応くださった皆様にこの場をお借りしてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

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