建築研究開発コンソーシアム20周年記念誌
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)注( 1. 2013年以降は、いわゆる「派遣社員」を含む2. 2015年度から建設投資額に建築補修(改装・改修)投資額を計上している資料出所:総務省「労働力調査」、国土交通省「建設投資見通し」CBRD 20th Anniversary 29(建設業就業者数:万人)70063260061.3500432400 300200102030405060708建設技能者数建設業就業者数建設投資額(年度値)091011121314151617 DX(デジタル・トランスフォーメーション)はスウェーデンのエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念で、IT技術の浸透により、人々の生活をあらゆる面でよいものへと変えようという考え方である。日本では経済産業省が2018年、「デジタル・トランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver.1.0」を取りまとめた。 このガイドラインでは、DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義している。 国土交通省でも様々な取り組みが始まっており、代表的なものでは、まちづくりのデジタル・トランスフォーメーションを進めるためのプロジェクト「PLATEAU/プラトー」の一環としての都市空間情報デジタル基盤構築や、ICT(情報通信技術)の全面的な活用により、建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を実現する取組み「i-Construction/アイ・コンストラクション」などがある。 また2021年3月に閣議決定された「新たな住生活基本計画(全国計画)」では、「新技術を活用した住宅の契約・【図2.1−4】建設業就業者数の推移(出典:日本建設業連合会「建設業ハンドブック2021」)取引プロセスのDX、住宅の生産・管理プロセスのDXの推進」が目標として設定された。 建設業界でも、建設生産プロセスにITを導入し、コンピュータ上の3次元モデルを使用するようになっている。さらには、ICTを活用し、計画・調査・設計施工・維持管理の各段階で3次元モデルを構築して情報共有を促進することにより、合意形成の早期成立や、作業の確実性や効率化が図られている。また、情報をクラウドで管理・活用することで、従業員の労務状況や健康状態を管理しつつ、作業現場のWebカメラによりリアルタイムで状況が確認できるなど、管理も合理化することができる。 すでに重機の遠隔操作による破砕・掘削・運搬・設置などを取り入れている企業もあり、今後は人手不足などの問題もある建設業界でDXを推進する動きが加速していくものと思われる。 図2.1-4に示すように、2001年度以降は建設投資の減少に伴い建設業就業者数も減少傾向にあったが、2012年度より建設投資の増加に比して就業者数、技能者数とも増加の傾向は見られない。2018年3月、国土交通省は建設業界の働き方改革を加速させるための「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定した。このプログラムでは「長(建設投資額:兆円)7060.9604925032140(年)201819DX推進の動き建設業界の労働環境

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