建築研究開発コンソーシアム20周年記念誌
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資料出所:国土交通省「建設工事施工統計」CBRD 20th Anniversary 27057.513.256.212.753.412.853.352.213.213.044.343.540.640.139.2070603040515.815.515.314.939.640.640.032.837.413(注) 1.金額は元請完成工事高。建設投資(前頁)との水準の相違は両者のカバーする範囲の相違等による   2.維持修繕工事比率=維持修繕工事完工高/完工高計(いずれも元請分)12141516維持修繕工事比率維持修繕工事新設工事(%)30282624222018161416.440.843.043.9171819(年度)28.361.317.457.259.816.8撃を被った。建設投資額が対前年比で減少となっただけでなく、コロナ禍の影響により民間住宅投資は急激に冷え込んだ。 さらに、2021年以降、建設資材の価格は著しく高騰している。鋼材や石油製品などの輸入価格が高騰し、メーカーも値上げせざるを得ない状況に加えて、コンテナ船の運賃高騰も値上げに輪をかけた。特に、木材の価格高騰は「ウッドショック」と呼ばれ、木材の供給が需要に追いつかない状況に陥った。これは、新型コロナウイルスの影響によりリモートワークが増えたこと、米国で新築建設やリフォームの需要が増加したことが引き金とされている。 2022年にはロシアによるウクライナ侵攻が始まり、世界中に大きな影響を与え、建設業界もさまざまな打撃を受けている。建材として使われる鉄鋼や木材の価格は1年間で急激に高騰し、2022年6月の国内企業物価指数(速報値)で「木材・木製品」は前年同月比43.3%もの上昇となった。世界有数の輸出国であるロシアが経済制裁の報復措置とし【図2.1−2】維持修繕工事の推移(出典:日本建設業連合会「建設業ハンドブック2021」)(兆円)807013.814.06050403056.752.649.5201001200002て一部の対日輸出を制限した影響も大きい。このように、グローバルなサプライチェーンは、物流の停滞が解消されない状況で、混迷を極めたと言っても過言ではなく、その収束の目途は立っていない。 とはいえ、今後、首都圏を中心とした再開発や物流施設、リニア中央新幹線、大阪万博など大型のプロジェクトが相次いで予定されている。さらには全国的に建物の老朽化が進んでおり、建て替え需要の増加も見込まれる。また、図2.1-2に示すように、維持修繕工事は近年着実に拡大しており、国土交通省によると、維持修繕工事費は2019年度から2048年度までの30年間の合計で最大170兆~190兆円になるとの推計が出されている。 このように建設業界を取り巻く情勢は刻々と変化しており、中長期的には社会環境変化への対応や新たな技術開発とその実用化など数々の課題が挙げられている。これら課題を一つずつ解決していきながら、今後の建設産業の成長と発展につなげていかなくてはならないだろう。13.238.633.034.632.70809101170.566.663.013.519.519.556.455.554.952.330.351.845.512.547.012.446.547.114.313.8

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