建築研究開発コンソーシアム20周年記念誌
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24 CBRD 20th Anniversary このたび「建築研究開発コンソーシアム」が、記念すべき創立20周年を迎えられましたこと、心よりお慶び申し上げます。本コンソーシアムは、2002年の設立以来、建築・住宅に関連する多様な主体を会員に持つという特徴を生かし、産業界や官界、学会等、幅広い連携により多様な業種からの参画を可能とするプラットフォームを提供し、開かれた研究開発の枠組みを構築してこられました。パラダイムシフトが起きた社会・経済のもとで生じている課題の解決を図るためには、従来とは異なる新たな発想に基づく技術的イノベーションの創出が必要です。そのためには多様な属性を持つ会員による活動を円滑に推進し、各会員が有する情報の共有・交換、さらには会員企業間の人的な交流が不可欠であると考えております。これまでも研究開発の次世代の担い手となる人材育成を会員が協働して支援するスキームや、異業種の研究者、技術者等が主体的に参画し自由に議論する取り組みは、新たなアイデアや技術開発の種を生み育てる場として機能してまいりました。これまでの活動が過去・現在、そしてこれからの未来の建築・住宅業界に大いに貢献されていることに敬意を表します。 現在、私たちを取り巻く環境に目を向けると、カーボンニュートラルの達成、激甚化する自然災害への対応は、その取り組みをさらに加速することを求められています。ZEH、LCCM住宅をはじめとする環境負荷の少ない建物の普及は、私たち建築・住宅業界にとって重要なテーマのひとつです。加えて自然災害に対する備えは年々その重要度が増しており、レジリエンス性もこれからの建物に求められる重要な要素です。 国内においては少子高齢化や人口減少が進展しています。さらには近い将来、世帯数も減少することが予想され、空き家対策は喫緊の課題であります。しかし一方で、良質な住宅ストックの形成は十分とは言えません。良質な住宅ストック形成において、既存住宅のリノベーションや建築再生も選択肢の一つです。 地球環境に配慮し持続可能な社会を実現するうえで、限りある資源を有効活用しながら実現すべき未来を見据えた取り組みが、新たな建築技術や素材開発などのイノベーティブな活動につながるものと考えております。 人生100年時代を迎え、多様なライフスタイルや価値観に対応し、誰もが健康で安心して暮らせる豊かな社会の実現に向けた取り組みが必要です。       急速に変化を続ける社会や経済に対応するうえで、重点的かつ効率的な研究開発の推進ならびに、複数の企業や大学、研究機関等の連携を強化し異なる分野を融合した研究開発は、今後ますます重要になります。それぞれの人材や施設、資金、ノウハウ等の活用を図ることは、それを達成するための有効な手段です。自主性や競争的な研究開発環境を尊重し、日頃交流する機会の少ない異業種の企業同士が共同で研究開発を推進する場として、さらには会員の人的・経済的資源を有効に活用できるような研究開発のスキームを提供するプラットフォームとして、本コンソーシアムの活動は、他にはなく重要な役割を果たしています。 長きにわたり業界に貢献されてきた本コンソーシアムの功績を讃えるとともに、今後ますますのご発展とご活躍を祈念しております。ミサワホーム株式会社 代表取締役社長執行役員作尾 徹也建設関連産業が取り組むべき課題とコンソーシアムへの期待

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