建築研究開発コンソーシアム20周年記念誌
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CBRD 20th Anniversary 19 以上のような状況にある日本の国際競争力を再び向上させるためにはイノベーションが不可欠であり、その中で建築分野を担うCBRDの大きな役割が異分野・異業種連携にあることは明らかだと思います。 異分野・異業種連携の最近の典型例はなんと言っても電気自動車(EV)分野での自動車・電気機器メーカーやIT企業との連携です。今や連携を超えて融合と言えるかもしれません。建築分野でも建物建設に3Dプリンターが導入されつつあるのも異分野・異業種連携の一つの例だと思います。 建築分野のもう一つの例は、1995年阪神・淡路大震災の甚大な住宅被害を受けて地震直後から建設省建築研究所(当時)で実施された3年間の研究プロジェクト「住宅等を対象とした免震・制振構法技術の開発」(1995~1998年)です。その当時、免震積層ゴムを使った免震構造の建物はある程度普及しつつある段階にありましたが、重量が軽い戸建て住宅にはまだ適用が難しい状況でした。そこでこの研究プロジェクトでは、住宅メーカーとゴム・装置メーカーから各々10社程度が参加し、共同研究を行って免震戸建て住宅の実用化研究を進めました。その結果、参加した数社の住宅メーカーから免震住宅が販売されることになり、その後戸建ての免震住宅の建設数が著しく増加する結果になりました。 個人や組織でイノベーションを起こし易くするには対面による直接対話が大切だと言われています。コロナ禍で対面での交流が妨げられてきましたが、これからは対面の機会が増える状況に変わろうとしています。次の30周年に向けてもCBRDの大きな役割である異分野・異業種連携が今まで以上に活発に行われ、建築分野のイノベーションが益々推進されることを期待します。

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