建築研究開発コンソーシアム20周年記念誌
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18 CBRD 20th Anniversary 建築研究開発コンソーシアム(CBRD)が創立20周年を迎えるにあたり、設立に尽力された方々並びにその後の運営と活動を担ってこられた方々に深く敬意を表します。 CBRDは、建築・住宅・都市に係わる産業界、官界、学協会などが連携し、さらに建築以外の関係企業・団体等にも参加を呼びかけ、多様な研究機関・企業等の結集を図り、総力を挙げて対処するべき様々な課題に取り組むことができる研究開発の枠組みを構築することを目的として設立されました。すなわち、CBRDは、異分野・異業種の技術者・研究者が交流して互いに刺激し合い、そこから課題解決に向けた新たな技術開発が生み出されることを意図し、研究開発の共通基盤(プラットホーム)を構築し提供することを目指しています。 変化の激しいグローバル現代社会では、いずれの分野においてもイノベーション(それまでの物や仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすこと)が求められています。グローバルな競争が激化し、世界的に技術革新が進み、企業等が成長と発展を継続するにはイノベーションの推進が不可欠です。CBRDはまさにイノベーションを意識して設立された組織ということができます。 IMD(国際経済開発研究所)が作成する世界競争力年鑑2022年版によると日本の競争力順位は63カ国・地域中34位でマレーシアやタイよりも下位に位置しています。バブル期終わり頃の1989年から1992年には1位を維持していたがその後徐々に順位を落として2019年以降は30位台となっています。大分類ごとの順位では、経済状況20位、政府の効率性39位、ビジネス効率性51位、インフラ22位です。インフラの小分類では、科学インフラ(研究開発支出関連、研究開発人材数、論文数、特許、研究を促す法整備、産学間の知識移転の活発さなどが含まれる)は8位と高いが技術インフラ(ブロードバンド加入者、ハイテク輸出額、モバイル通信コスト、ICTサービス輸出割合、デジタル・専門技術者の利用可能度などが含まれる)は42位に低迷しています。日本は知的資本に関する研究開発や研究論文、特許などが強く、また高等教育や学習到達度が高いなど研究開発力に強みを持つが、生産性・効率性にそれらが生かされない結果になっていると言われています。また、これらの課題を克服するためには人的資本の向上が必要で、まず産学官の交流の活発化により企業ニーズの所在と必要な人材像を明確にする必要があることなども指摘されています。建築研究開発コンソーシアム 前会長 北海道大学 名誉教授緑川 光正異分野・異業種連携の場としての建築研究開発コンソーシアムの役割建築研究開発コンソーシアムの役割と成果3

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