建築研究開発コンソーシアム20周年記念誌
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16 CBRD 20th Anniversary 建築研究開発コンソーシアムが、研究機関及び企業の皆様の賛同を得て、研究開発の共通基盤(プラットフォーム)の確立を目指し、2002年に発足して以来、20年の年月が経過しました。この間、各機関・企業の競争・連携のネットワークを構築しつつ、幅広い英知の結集を図り、多様な活動と成果を積み重ねてこられたことに感慨を禁じえません。個々の研究開発活動に携わった皆様、コンソーシアムの運営に当たられた皆様に深く敬意を表し、あわせて厚く御礼を申し上げます。 本コンソーシアムは、今後の活動の方向性を指し示す「中期ビジョン」を2013年にとりまとめています(2019年に改訂)。 このビジョンでは、まず、研究開発プラットフォームの機能を、交流推進機能、インキュベーション機能、 研究開発推進機能及び成果普及機能の4つに整理したうえで、各機能に係る活動の着実な実施・見直し・充実等を図ることとしています。 特に、具体の研究開発の前段階におけるインキュベーション機能については、「コンソーシアムが有する他団体に例を見ない特徴的な機能であり、最重要機能として位置づけ一層の強化を図る」としています。 コンソーシアムがこれまでに手掛けた研究開発は建築の構造・防火・環境・情報・教育等々幅広い分野にわたりますが、ビジョンの示す方向性を何よりも雄弁に物語る実例のひとつが、建築物の基礎・地盤関連の研究開発ではないかと考えます。 建築物の基礎・地盤関係にまつわる諸課題への取組みは、災害大国日本において避けては通れない、極めて重要な研究テーマです。 大地震発生時の地崩れや液状化のみならず、大雨発生時の盛り土や法面崩壊などは、被災地の被害の拡大をもたらし、しかも復旧まで多くの労力と時間を要することから、その事前防止策が急務であることはいうまでもありません。他方、高度成長期以降に建築された中高層建築物の建て替え需要が増大する中で、既存基礎杭に関する情報の重要性やその有効利用、杭撤去後の安全性確保に向けてのきめ細かな配慮が必要との認識も高まりつつあります。 本コンソーシアムでは、すでに2018年に「建築基礎・地盤研究開発推進のためのロードマップ」を策定し公表しています。この中で、「建築物の安全と機能維持を保証する建築基礎の設計法の確立と、それを実現する施工技術の開発」「安全かつ合理的に敷地を活用できる設計・施工技術の開発」を戦略的目標と位置づけるとともに、具体的なロードマップと研究課題案を提示しています。また、「建築基礎・地盤分野の先進的な研究開発を目指す若手勉強会」を発足させ、自由闊達な議論を展開しています。 こうした経過を踏まえつつ、2019年には、任意団体として、建築基礎・地盤技術高度化推進協議会(ALLF)一般財団法人ベターリビング 理事長眞鍋 純研究開発の先導役としてのコンソーシアムに期待

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