建築研究開発コンソーシアム20周年記念誌
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10 CBRD 20th Anniversary 建築研究開発コンソーシアムが創立20周年を迎えられましたことを、心からお祝い申し上げます。これまで活動を支えてこられました、歴代の役員ならびに会員のみなさま方のご努力に対して、深く敬意を表します。 さて、2016年に発効したパリ協定以降、世界は脱炭素に向けて大きく舵を切りました。我が国も2050年までに脱炭素社会を実現することを宣言しました。2030年度までに2013年度比46%の温室効果ガス削減が求められています。我が国の建築・住宅分野からの排出は、材料、施工なども含めると約4割にもなります。さらに、東京などの大都市では建物関係からの排出が7割にもなります。東京都では戸建住宅に関しても太陽光パネルの設置義務化を進めています。脱炭素社会の実現は他のどの分野でもなく建築分野が率先して取り組む課題です。建築・住宅分野に課せられている歴史的課題と認識する必要があるでしょう。住宅・建築分野のZEB・ZEH化に加え、資材調達から施工、維持管理、撤去まで、サプライチェーンで排出量を考える必要あります。 日本建築学会では、2021年1月に「日本建築学会気候非常事態宣言」を発出し、それを受ける形で3つの課題解決タスクフォースを設置しました。そのひとつが「脱炭素都市・建築タスクフォース」で、7回の公開委員会と6回の通常委員会を開催し、2022年3月18日には総括シンポジウム「カーボンニュートラル実現に建築分野はどう対応すべきか」を開催しました。住宅、設計事務所、材料・施工分野、不動産分野、不動産・環境金融分野、建設会社など多様な観点から現状と将来展望を報告いただくとともに、日本建築学会として組織的に取り組むべき学術研究、あるいは日本建築学会自身の脱炭素化の取組方針を議論し、今後の建築界のカーボンニュートラルを進展させるための基礎資料として報告書をまとめています。 https://www.aij.or.jp/jpn/databox/2022/220913.pdf 貴コンソーシアムでも、早い時期から「来るべき低炭素社会への対応」について取り組んでこられ、「住宅・建築分野の低炭素化に向けた技術ロードマップ」や「室内環境性能と省エネを両立させる研究」などの蓄積があります。引き続き、脱炭素実現のための社会実装をさらに推進されることを期待しています。とくに、建築・一般社団法人日本建築学会 会長田辺 新一多様な主体が連携して住宅・建築分野の課題解決に取り組む活動に期待建築研究開発コンソーシアムへの期待2

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