建築研究開発コンソーシアム20周年記念誌
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CBRD 20th Anniversary 5 CBRDがもう20周年を迎えるとのこと。そして現在も264の様々なステータスの会員が集い産学連携、異業種・異分野連携によるプラットフォームとして様々な活動を行い多くの成果を上げていることに敬意を表するとともに関係者の皆様のご尽力に感謝いたします。 私は10周年の際も寄稿をさせていただきました。10周年記念誌において平成14年度から19年度にかけてコンソーシアムの会長を務められた元建築研究所の所長の故山内泰之さんが設立の経緯を紹介されています。当時国土交通省の住宅総合整備課長をしていた私は山内さんの問題意識に共感しこのコンソーシアムの設立の支援をさせていただきました。 私自身の問題意識は10周年記念誌に書いているように① 当時中堅ゼネコンの研究所を縮小・廃止する動きが顕在化し、このままでは我が国中小建設会社の研究活動がじり貧になり、ひいては技術力が低下するのではないか。② 大手5社の研究所において多くの研究テーマに取り組んでおり、各企業独自の研究や技術開発が中心ではあるものの、中には協力して取り組んだ方が効率的に成果を上げることができるものがあるのではないか。③ 建築業界と素材業界、設備業界、エネルギー業界等建築に関連する幅広い関係者が一堂に会してニーズの掘り起こしやシーズの実用化に向けた取り組みを行うことが可能になるようなプラットフォームが必要なのではないか。④ 建築基準法をはじめとする関連制度に対して関係者が協同してその改革を働きかける場が必要なのではないか。でした。 現時点で考えても以上の問題意識は依然として有効だと思っています。 今でこそオープンイノベーションプラットフォームは世の中の常識になりフィンテック、ディープテックなどに関連したプラットフォームが世界そして日本の様々な場所で構築されています。そのような意味において研究開発プラットフォーム機能をその中核とするCBRDの設立は先見の明があったと思います。 10年前から何が変化したのでしょうか。① 環境分野についてはⅰ2015年のパリ協定の締結、ⅱSDGs持続可能な開発目標の採択、ⅲ2050年カーボンニュートラル宣言、ⅳ2030年CO2の46%削減と様々な目標が設定されました。② 社会分野については出生率の低下、人口減少、高齢化がさらに進み年金、医療、介護などの社会保障の課題はますます厳しさを増しています。東京大学 特任教授(工学博士)一般財団法人日本建築センター 顧問和泉 洋人CBRD20周年に寄せて

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