建築研究開発コンソーシアム20周年記念誌
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4 CBRD 20th Anniversary 本コンソーシアムは2002年の創立以来20周年を迎えることができました。この間、当会の活動を支えていただいた関係者の皆様のご尽力に厚く御礼申し上げるとともに、当会が建築・住宅分野の技術開発に貢献した実績を慶賀する次第です。 この20年において、建築・住宅を巡る環境は大きく変化しました。国内に目を向けると、少子高齢化と職人不足、建築・住宅ストックの高齢化、原発事故とレジリエンスなどです。グローバルな課題としては、SDGs/ESGと持続可能社会構築に向けた運動、地球環境問題の深刻化と再生可能エネルギー推進、開発途上国や低所得者支援のための社会課題解決への貢献などです。 建築・住宅分野はこれらの多様な課題に応えるため、技術開発の必要性に迫られています。過去の20年間を振り返ってみますと、この間に達成された建築・住宅分野における技術、材料、工法等の進歩は著しいものです。しかしこれで完了したわけではありません。カーボンニュートラルとGX、デジタル国家田園都市構想とDXなど、建築・住宅分野が取組まなければならない新たな課題が数多く現れています。新しい生活環境や新しい経済/社会基盤の構築に向けて建築分野の貢献に期待する声は一層高くなっております。一方で、これらの課題に応えることは建築・住宅産業の活性化をもたらします。 近年の建築・住宅分野における技術開発の要求は、SDGsの事例に見るように経済・社会・環境の分野でグローバルな枠組みで進展しています。このような状況の下では、分野横断的な課題や社会課題など従来取組むことの少なかった開発行為が求められ、個々の企業だけの取組による技術開発では限界が発生しがちです。技術開発を効果的に進めるためには、技術開発のテーマ開拓やその推進方法等について、分野全体として共通基盤を持つことです。共通基盤の具体化としては、産官学の多様なステークホルダーが参加して自由に情報交換ができるプラットフォームを作ることです。このプラットフォームにおいて、建築・住宅の枠を超えて幅広い企業が参加する異業種連携の場を提供することができます。当会のミッションはここにあると言えますし、過去20年間、このような立場から建築・住宅分野の技術開発の推進に貢献してきたといえます。 プラットフォームが技術開発の成果を挙げるためには、多様な分野の人材が参加して達成される異業種連携が一層活性化することが必要です。そのためには、従来同様、多様な人材が気軽に参加できる柔軟なプラットフォームの運営が求められます。今後とも、国交省や建築研究所の支援、指導の下で、オールジャパンの幅広い業種が参加する、そして国際的視野を持った活力のあるプラットフォームの運営が続けられることを期待する次第です。一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター 理事長村上 周三建築研究開発コンソーシアムの異業種連携の活動に期待する

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