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CONSOニュース詳細
  研究会「カーボンニュートラルビルディング構築技術の開発 -建物外皮での藻類培養による可能性-」参加者募集のご案内
内容

■提案者:
大成建設株式会社

■研究会発足時の活動概要と目的:
モデル建物および培養方法を仮定し、外壁で微細藻類を培養する建物のCO2固定量および培養した微細藻類のエネルギー利用によるCO2削減量を試算し、カーボンニュートラルビルの課題を抽出し、実現性を検討する。

■一年間の活動で得られた成果と課題:
【成果】
1. 微細藻類および微細藻類培養、メタン発酵システム、バイオガス発電に関する情報集積
・ ゲノム分析や遺伝子操作などにより培養しやすい種の研究は進んでいる。適用環境条件が広く、建物外皮での培養に適応できる可能性が高いクロレラの比増殖速度などの情報を収集した。
・ 微細藻類を培養する水槽(以下、リアクター)は4種あり、建物外皮での培養に適応できる可能性が高いリアクターはフラットラットパネル型で、SolarLEAF(独SSC社)が商品化されている事がわかった。
・ 培養する微細藻類に加えて、建物内で発生する食品残渣もメタン発酵源とすることで、バイオガスを増やすことができるだけでなく、メタン発酵の副生成物である消化液は微細藻類の肥料として利用可能であることがわかった。
・ バイオガスのエネルギー化方法によって、バイオガスの精製精度が異なることがわかり、精製に要する設備エネルギーを考慮した、エネルギー化方法の選定が必要な事がわかった。
2. 『カーボンニュートラルビルディング』の概要設計
・ 検討対象のベースとして、国内立地の標準階(40m×25m=1000㎡)、20F建てのオフィスモデル(1フロアは食堂)の外壁4面全に、厚さ20mmのフラットパネル型リアクターを有し、1t/日の食品残渣が発生している市街地の高層建物(以下、CNBモデル)を想定。
・ 比増殖速度0.3(1/hr)のクロレラを、年間を通じて培養に適した温度で培養する。年間で30.3tを育成でき、育成は59.4t-CO2吸収 に相当することがわかった。
・ CNBモデルで発生する1t/日の食品残渣を用いて、メタン発酵(あべのハルカス実装設備)で36500Nm3/年のCH4が得る。このCH4を燃料として利用することは47.7t-CO2 /年排出量削減に相当するだけでなく、食品残渣の処理場までの搬送不要は57.3t-CO2/年排出量削減になる。
3. 市街地の高層建物で微細藻類を培養するメリットの再考
3.1 食品残渣の減容時の副生成物の処理用
・ 微細藻類はメタン発酵等を行うことでエネルギー化するポテンシャルが低いため、メタン発酵のバイオマスとして利用するよりも、市街地では消化液の処理用に利用する方が合理的であることがわかった。
・ 建物内で発生する食品残渣の減容は、廃棄場までの搬送にかかるエネルギーに相当するCO2排出量削減になる。廃棄費用の低減分がCNBの経済的成立に有効な可能性がある。
3.2効率的な微細藻類培養のための高CO2濃度ガス供給
・ 藻類の効率的な培養に有効な、CO2濃度の高い気体が建物内居住者の呼気として容易に得られる。上記のCNBモデルでは呼気中のCO2、168.2t- CO2/年の大気放出を回避できることがわかった。

【課題】以下の3点が課題である。
1. CNBモデルのエネルギー収支の検討
2. CNBモデルのCO2収支の検討
3. 外壁とリアクターを一体化するメリットの整理

■延長する理由:
藻類関連とバイオガス関連の情報を収集し、CNBモデルでエネルギーやCO2の収支を試みた結果、①培養水の温度調節を含む培養条件の詳細設定やバイオガスのエネルギー転換方法の設定の影響が大きいことがわかったため。
また、断熱性向上による空調負荷低減など、外壁とリアクターを一体化するメリット(建物の魅力)の整理が必要なことがわかったため。

■今後の活動における目的・概要:
【目的】
CNBモデルのエネルギー収支、CO2収支を検討し、建物外皮での藻類培養の建築上のメリットを整理し、CNBモデルの実現可能性を検討し、カーボンニュートラルビル実現のための課題を検討し、実現可能なカーボンニュートラルビルのイメージを構築する。
【概要】
1. CNBモデルのエネルギー収支の検討
・モデルの建物設置場所を国内とした場合、夏期と冬期の培養には培養水の温度調整が必要である。一方、食品残渣は年間を通じて建物内で発生するため、培養条件を詳細設定し、培養に必要なエネルギーとメタン発酵に必要なエネルギー(脱硫後に燃料電池で発電、高温排水でメタン発酵槽を加温)を算出し、バイオガス由来のエネルギーと収支検討する。
2. CNBモデルのCO2収支の検討
・モデル建物をZEBと仮定した場合、藻類育成によるCO2固定量と比較すべきCO2量の明確化
3. 外壁とリアクターを一体化するメリットの整理
・外壁の外側に、恒温の水の層を加えることの建築的メリット(断熱性向上による空調負荷低減、上階延焼防止効果、風による振動・きしみ音防止効果など)の整理。
・微細藻類起源の緑の濃淡のファサードデザイン性の検討。

■今後の活動で想定される成果:
・培養システム、バイオガスエネルギー転換システムを備えたCNBモデル
・上記モデルのエネルギー収支とCO2収支
・カーボンニュートラルビル実現のための課題

■研究会延長期間:
承認日から2018年6月22日

■予算:
建築研究開発コンソーシアム研究会支援費による。

■研究会構成:
大成建設、フジタ、大林組、日本総合住生活、UR都市機構

■新規参加募集:有

■募集期間:2017年7月13日~2017年8月14日


連絡先参加希望、お問い合わせは、(1)会員企業名、(2)ご所属、(3)氏名、(4)連絡先(TEL、FAX、e-mail)、(5)(参加希望の方は、)研究会への期待や貢献を、下記までお知らせください。
建築研究開発コンソーシアム 事務局 担当:岩田
電話 03-6219-7127 e-mail kenkyu@conso.jp

 ニュース公開日2017/07/13
発信者コンソーシアム事務局